大好きな時間
 20歳になって3日目の夜に、先輩と2人でお酒を飲みに行った。
大学が夏休みに入っていたし、先輩がそばにいてくれる事で、僕は随分解放的な気分になっていたと思う。
でも、ちょっと調子に乗りすぎた。
僕はたくさんお酒を飲みまくって、挙句の果てに腰が立たなくなってしまったのだ。
それにしても、こんなにドキドキするのは初めてだ。先輩とセックスをする時よりも、今の方がずっとずっと興奮していた。
目の前にあるのは、太くて大きな木の幹だ。
木を見つめて興奮するなんて、僕はやっぱりまだ酔っているんだろうか。

*   *   *

 先輩は、酔いつぶれた僕を背負って帰り道を歩いた。
僕の体重はあまり多くないけど、それでも彼はつらかったに違いない。 汗に濡れるティーシャツが、まさにその苦労を物語っていた。 本当に自分が情けなかったし、彼に対しては申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
この時夜空には月が浮かんでいた。
僕は彼の背中にしがみ付いて、それをぼんやりと眺めていた。だけど先輩は、空を見上げる余裕なんかなかっただろう。
しかも僕は、更に彼の手をわずらわせた。大きな背中に揺られている時、急にトイレに行きたくなってしまったのだ。
今夜は先輩のアパートへ泊まるつもりでいた。そこへ行き着くまでは、まだ10分以上も時間がかかりそうだった。
僕はかなり努力をしたつもりだったけど、すぐに我慢ができなくなってしまった。
「おしっこ……」
とても申し訳なかったけど、仕方なく遠慮がちにそう訴えた。
すると彼は、大急ぎで近くの雑木林へ駆け込んだのだった。

 木々の葉が月明かりを遮って、そこはとても暗かった。
先輩はゆっくりとしゃがんで僕を地面に下ろしてくれた。
もう我慢が限界に近付いていて、両膝がガクガクと震えた。
彼は僕の体を支えてなんとか立たせようとしてくれたけど、重い腰はちっとも言う事を聞いてくれなかった。
先輩の腕に必死でつかまろうとしても、重力に引っ張られて体が地面に貼り付こうとするのだ。
そのうちに足がもつれてしまい、僕たちは同時に体のバランスを崩した。 結局2人は、そうして地面にへたり込んだのだった。
その時先輩は肩で息をしていた。いくらタフな彼でも、さすがに疲れた様子が見えた。
木の根っこがお尻に当たって痛かったけど、僕はもうそれどころではなかった。
「漏れちゃう。脱がせて」
そんな事を言うのはとても恥ずかしかったけど、好きな人の前でおもらしするよりはマシだと思った。
切羽詰まったその声を聞きつけると、先輩は急いでベルトを外してくれた。 サッとズボンを引っ張られると、パンツも一緒に脱げてしまった。
周りに人の気配はまったくなくて、そこはとても静かだった。先輩はきっと、どうやっても僕が立ち上がれない事を知っていた。
彼は長すぎる前髪を右手で払い、優しい目で僕を見つめた。
早くアパートへ帰って、筋肉をまとったその体に包まれてみたい。
そんな思いが頭をよぎった時、彼の姿が突然視界から消えた。

 すると次の瞬間に、いきなり体がフワッと浮き上がった。
僕の目に映るのは、太くて大きな木の幹だけになっていた。
その時は何がどうなったのか分からなくて、ただ呆然としていた。 でも今の状況を理解するまでに、それほど長い時間はかからなかった。
「おしっこして」
耳に小さく彼の声が響いた。両膝の下には、分厚い手の感触があった。
その時僕は、いっぺんに酔いが冷めた。
お尻は少し沈んでいて、両足が左右に大きく開かれている。そして背中に、彼の温もりを感じた。
先輩は両手に僕を抱えて、今すぐおしっこをさせようとしていたのだった。
「いや……」
戸惑いの声は、生温かい風の音にかき消された。
ヘアーに埋もれたペニスが、少しずつ少しずつ自己主張をし始める。 恥ずかしさと戸惑いは頂点に達しているのに、僕の体はそれ以上に興奮していたのだった。
膝の震えは止まらなかった。頭が少しクラクラして、目の前の木が何重にも重なって見えた。
きっと先輩は、肩越しに僕のすべてを見つめている。
それを強く意識した時、膀胱が消極的になっておしっこが体の奥へ引っ込んでしまった。
「我慢しなくていいんだよ」
彼の息が耳に降りかかると、体中が熱くなった。
でも僕は、決して我慢していたわけではない。わずかに残る理性が、体にブレーキをかけていたのだ。

 その状態がしばらく続くと、背中にじわっと汗が浮かんできた。
僕は恥ずかしくてたまらなかったけど、先輩に抱えられておしっこをしてみたい気持ちも強かった。
幸いな事に、そこは月明かりが遮られていた。辺りは暗いし、僕たち2人以外誰もいない。 ただ温い風が、時々頬を撫でていくだけだ。
ここでなら、何でもできそうな気がした。
もしかして僕は、先輩を少し焦らしたかっただけなのかもしれない。
「ほら、シーッ……」
放尿を促すその声は、何よりも偉大だった。耳に囁かれたその一言が、遂に僕を解放してくれたのだ。
半分立ち上がったペニスの先から、ポタポタと水の粒が零れ落ちる。それが終わると、水は急に勢いを増した。
シーーーーーーーッ
静かな林の中に、おしっこの音が大きく響き渡る。
アーチを描くように飛び上がった水は、木の幹にぶつかって次々と下へ流れ落ちていった。
おしっこを浴びた部分だけ、幹の色が変化していく。その面積は、どんどんどんどん広がっていく。
「かわいい……」
熱い息が、僕の耳をくすぐった。
お尻の割れ目には、時々硬いものが触れた。先輩は、僕のその姿に興奮していたのだ。
「今度から、いつもこうしてあげるからね」
その言葉にうっとりして、思わず軽く微笑んだ。これから僕は、おしっこの時間が大好きになりそうだ。
END

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